日本の医療制度について
表題について語る前に日本の医療の仕組みについて少し語らなければなりません。
医事課と言えばレセプト、レセプトと言えば医事課というくらい医事課業務としては中心的な業務になっています。医療機関に勤めていない人であれば何それ?となるでしょうし、医療機関に勤めている人でも特に経営者サイドの業務に携わっている人でなければ「名前ぐらいは聞いたことあるけど、よくわかんない。事務の人の仕事でしょ?」みたいになったりする人もいます。が、このレセプトに関する業務というのは医療機関の経営にとってはとても重要な仕事なのです。
と、いうのも日本というのはご存知の通り国民皆保険制度がある国。会社に勤務して働いているサラリーマンであればほぼ100%保険証をお持ちの事と思います。(てか会社が雇用している労働者に雇用保険と社会保険に加入させるのは義務です。もし勤務している会社・事業所が加入していなかったら労働基準監督署に告発した方がよいです。)
たとえば今あなたが猛烈にお腹が痛くなって医師に見てもらいたい!となったとしましょう。日本では119番に連絡をすると救急車が飛んで来てくれ、受け入れ可能な最寄りの医療機関にすぐに搬送してくれます。保険医療機関であれば診察料に加えて、検査や投薬、画像診断の料金が付加されさらに受診した時間帯によっては深夜加算や休日加算がつきます。
救急車の費用だけで年間2兆円!?
しかし救急車についてはタダ。無料です。(厳密に言うとこれは正しくなく、医療機関は夜間と休日に救急患者を受け入れ、尚且つ初診の場合、夜間休日救急搬送医学管理料を診療報酬として算定できます。条件も若干制約がありますが、これは蛇足)1回の搬送にかかる費用が4万円から4万5千円といわれている救急車は税金を払っていない外国人もタダ。無料です。
なんと救急車の維持と出動にかかる費用は年間約2兆円とも言われています。しかし今後は有料化の議論が喧しくなるのは必至でしょう。(現実に2015年の財務省の財政制度等審議会ではそのような議論があります。)
日本ではそれらの医療サービス受け取っても加入している保険証によって負担割合は違いますが、サラリーマンの年代であれば診療費の3割を負担しなければならないはずです。小学校に上がる前の未就学児であれば2割負担ですし、後期高齢者医療保険証を持っている方でしたら原則は1割です。(あくまで原則。厚生労働省はどの年代の自己負担も増やしたくてしょうがないので所得によっては3割負担の人もいます。)
つまり、私達はかかった医療費(救急車の費用も含めて)のほんの一部しか支払っていないのです。じゃあ医療機関は残りの医療費はどうしたらよいの(・・?
その答えが我々医療事務の仕事につながってきます。その医療費の残り7割や9割を受信者が加入している保険者(市町村や健康保険組合)に請求するのが医事課職員の仕事です。
レセプト点検業務とは?
そうレセプト(正式には診療報酬明細書と言います)とは「請求書」の事なのです。他業種の方、アパレルでも商社でも製造業でもサービスや商品を売って対価を得ますが、その際の実務としてその売り上げを請求書にして売り上げた相手方に金額を請求します。
保険医療機関はその請求書を「1か月」という期間で区切って売り上げを整理し、国保連・社会保険支払基金というレセプトの審査期間に請求します。そして、そのレセプトを点検するのが今頃の月初期間なのです。請求書の送付期限(今は電子データにて請求をしています)が10日までになるので、医事課員として事務職の仕事に携わるものは月初に残業が多いのです。
もちろんこれは勤務している病院によって違います。クリニック・診療所に勤務する人とは又違うでしょうし病院の規模によっても異なります。
まあ、給料とかストレスとか人間関係とか将来性とかは・・・別の記事に譲らせてください笑 1つ1つだけでも語りつくせないものがありますので。今日はこんなところで締めさせていただきたいと思います。