医療事務にとっての「出産」
前回の記事が出産についての記事だったので、今回も出産について書かせていただきます。前回は医療についての記事でしたが、今回は医療事務としての業務についての「出産」についてです。
3~4年前の話です。その時も自分は医事課にいて、未収金回収が業務の1つだったのですが、その時の先輩にこんなことを言われました。
「今はいいよな~~○○君。今は出産育児一時金も直接支払制度があるから。昔はなかったからタチが悪いやつだと踏み倒すのを前提で子供作ってるやつもいたもんなあ・・」
と言われたのです。ふとした雑談の中での一言であったのでその時の会話はそれで終わったのですが、後で思い返してみると昔はどうだったんだろう(・・?という思いがこみ上げてきました。
ちょこっとネットで一時金の事を検索すると、どうやら昔は現在のような病院と健保の間での直接的な請求・支払という流れではなく、健保から患者へ支払・患者から病院へ支払い。
2重の流れがあって、患者さんの懐に一旦出産育児一時金が入る制度だったんです。
病院としては出産費用の未収金は高額であり、そんな患者が未収金となったら状況によっては焦げ付く可能性のある厄介で憂鬱になる案件であったことは想像に難くありません。
「出産」は「病気」ではない
改めて、当然の事ながら「出産」は病気ではありませんから健康保険の対象とはなりません。が、その費用は高額な為出産費用を補助する「出産育児一時金」という制度が存在します。
この「出産育児一時金」は基本的に健康保険に加入してさえいれば誰にでも支給されるもので、自分の病院でも出産される患者さんはほぼ例外なくこの制度を利用して給付を受けています。
制度としては、比較的大規模な病院は「直接支払制度」という制度に加入し、比較的小規模な医院などは「受取代理制度」にて加入者は出産費用を申請します。(現状ほとんどの病院が「直接支払制度」の方とのこと。)
この2つの制度、名前は違いますが、制度の違いは大した違いではなく、手続きに若干の違いがあるだけです。
(厚生労働省によると年間分娩件数が100件以下の診療所・助産所や収入に占める正常分娩の割合が50%以上の助産所などを「受取代理制度」の目安としているそうです。)
この制度2009年より始まったものとのこと。(間違いであったら申し訳ありません。)正直、この時代で未収金業務を担当していなくてよかったなあ・・と思います。
借金とかを抱えている患者であれば借金返済に回す患者もいるでしょうし、考えが低い親であればそもそも懐に入れてとんずらするかもしれません。
外来の限度額適用認定証といい、出産育児育児一時金といい、患者さんにとっても病院にメリットのあるシステムの普及は大切なことだとあらためて身に染みた先輩の言葉でした。