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無痛分娩に関する医療事故について

2017年10月8日

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世間の無痛分娩の動向

ここ数年、産科関連のニュースで無痛分娩関連のニュースを目にする事が多くなりました。その内、悪い方面のニュースは医療事故関連のニュースです。

最近目にした所では、今年の1月に大阪の老木レディースクリニックという産婦人科医院にて無痛分娩で出産した女性が死亡した事故のニュースがありました。

帝王切開にて生まれた赤ちゃんは無事出生しましたが、医師は患者である母親が呼吸不全に陥った際にも適切な処置をしなかったとされ低酸素脳症にて後日死亡しています。

ニュースサイトの記事を読み漁る限りではありますが、呼吸不全の原因は無痛分娩の際に行われる硬膜外麻酔が原因との事で医師は業務上過失致死にて大阪府警に立件され、書類送検されています。

 

上記のような医師が刑事責任を問われるケースは極めて稀との事ですが、この無痛分娩関連の事故・訴訟というのは日本において散見されるようになりました。

2015年に順天堂大学付属病院にて無痛分娩を実施した際に陣痛促進剤の投与の影響により母体が子宮破裂し、胎児が死産になったとして訴訟になっていますし、京都の産婦人科医院でも2012年に無痛分娩の際の麻酔にて母親の死亡・胎児の脳障害が発生したとして訴訟となった事例が発生しているようです。

そもそも無痛分娩とは(・・?

このニュースに接した時、自分はまず無痛分娩とはそんなに危険なものなのか?という疑問を抱きました。ニュースが無痛分娩という医療行為がどのようなものであるかということを調べるキッカケにもなりました。

 

無痛分娩とは普通の分娩(自然分娩)とは違い、背中の脊髄に近い硬膜外控に麻薬を投与し陣痛の痛みを和らげながら出産する方法とのこと。通常の分娩であれば「尻からスイカを出すくらい」痛さとされる分娩の際の痛みも談笑しながらいきむこともないものに変わるとのことです。また、多くのケースは日程も事前にこの日!と指定して分娩日を決めて陣痛促進剤を投与し(誘発分娩)て行うようです。

日本ではよく「お腹を痛めた子だから」などと表現されることもありますが、医療技術が進歩した現在はこんなことも可能になっているのですね。。。(独身である自分はまったく知らなかった世界です)

そして、どうやら「無痛分娩」というのは欧米では非常にポピュラーな出産方法のようです。ちょちょっとネットで検索してもすぐにでてきました。

アメリカでは、おおよそ60%、フランスではなんと80%もの人が無痛分娩で出産するようです。イギリスではキャサリン妃も無痛分娩で入院翌日には退院したとか。

日本を含めたアジア圏ではまだそこまでの普及は見られず日本でも約3000ある分娩施設の内、実施しているのは約250施設程。割合にして約3%程です。アジア圏の内に最も多い割合を占めるシンガポールでも約15%程度とのことですので、アジア圏での普及はまだまだと言えるでしょう。

分娩の痛みも無いのならじゃあ日本でもやりたじゃあ無痛分娩で出産しましょう、とはならないようで、日本で行うのは危険とは言わないまでも慎重になったほうがよさそうです。というのも欧米の無痛分娩は大病院で行うのが主流であるのに対し、日本は小規模な「診療所」が扱う事例が半数以上。無痛分娩の実施率が6割にも達する米国では麻酔科医・産婦人科医・小児科医など複数の診療科の医師のもとで行うのが常識とのこと。

日本における無痛分娩の危険性

事実、日本で発生した無痛分娩の際の医療事故の大半は小規模医院で発生しており(小規模医院が無痛分娩の大半を担うことを考えれば卑怯な言い回しかもしれませんが)、上記で挙げた大阪のクリニックでのケースでは手術は院長1人で行っていたとのこと。(順天堂大学病院付属医院のケースはちょっと違うかもですが)

無痛分娩は妊婦の痛みを和らげるなどメリットも多い手法ですが、半面高いマンパワーとスキルが必要だと厚生労働省の研究班も日本産婦人科学会にて提言しており、現状はどこで行っても大丈夫とは言えないものだと考えられます。ですので、希望される患者さんは医療施設の規模・体制をよく吟味して産む場所を決めたほうが良いと言えるでしょう。

日本は世界でも有数の医療水準を誇る国です。しかしそれでも生物にとって出産とは不足の事態が起きる危険な行為なのです。特に医療がどんどんサービス業化していき少子化が進む昨今は医療機関も患者を呼び込むために良いことしか表に出しません。患者側もそれを鵜呑みにせず賢くなるしか対応策はないのではないでしょうか。

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